フリーランスです。請求書を発行したいが取引先から請求書不要と言われたケースについて教えてください。
フリーランスでナレーターの仕事をしています。
個人事業で制作をしている方から仕事依頼があり、事前に請求書送付方法について確認をしたところ「請求書は送らなくてよい」と言われました。
こちらとしては、
・ギャランティと合わせて消費税の請求をしたい
・トラブル防止のため「金銭が発生する取引」があったことを証明したい
上記の点から、請求書発行は必要と考えています。相手の方にとっても万一の際の証憑になるのではと思うのですが、そもそも請求書発行無しでの取引は行ってよいものなのでしょうか?
ちなみに源泉徴収がある場合は支払調書の発行をお願いしたい旨伝えたところ「発行したことは無いが、会計士に相談して作成する」という返答をいただきました。確実に発行いただけるか少々不安な回答だったので気になっているのですが、支払い調書だけで金銭のやり取りを伴う取引があったことの証明にできますでしょうか?
自分も決して経験豊富では無いため、このようなパターンが初めてで不安を抱えています。問題があるようならこの取引自体を考え直したいため、ご助言頂けますようお願いいたします。
荒井会計事務所
- 認定アドバイザー
- 群馬県
税理士(登録番号: 63578), 公認会計士(登録番号: 35025), 社労士(登録番号: 13120156), 行政書士(登録番号: 16140764), 中小企業診断士(登録番号: 421403)
はじめまして。
まず、契約内容の提示とその締結申し入れる意思表示に対し、相手方が承諾すれば契約は成立し、その書面作成などの方式を問わないと民法522条で規定されています。(ただし、事業者同士の特段の取り決めなどがある場合を除きます。)
そのため契約条件などを取り決める正式な書面や請求書などが存在していなくても、契約に基づく債権や債務が発生すると考えられています。しかし、質問者が懸念されている支払い条件や事後的なトラブルの予防という観点では証跡をきちんと残すことの必要性は一般的にあると考えられます。
このような場合においては、口頭だけでのやりとりでは録音データでもない限り「言った言わない」というトラブルにも発展しかねないため、メールのやりとりなどの中で契約内容、支払い条件などの記載もいただき、そちらに承諾いただくなどの記録を残す工夫をいただくことをおすすめいたします。
なお、前述の通り請求書でなくてはならないということではありませんので、請求書の発行義務については、必ずしも請求書を発行しなければならないと定められているわけでありません。
しかし、一方で税務領域では、経費化、仕入控除にするのであれば必要事項が記載された請求書等を保管しなければならないと規定しているため、相手方が請求書に代わる書類などの保管がない限り(税務調査などが入った際に)困るはずだと考えられます。
しかし一方で質問者の方は、売上を計上する側であることから前述のやりとりの記録と入金を記録している通帳などで、十分挙証責任を果たすことができると考えられるため売上の計上については、上記の保管で差し支えないと考えられます。また、必要に応じ、相手方に渡してはいなくても請求書は後々取引先等からの依頼がある可能性もあるため、作成保管いただくことをあわせておすすめいたします。
支払調書については、相手方から税務署への提出義務がある書類となるため質問者のもとに届かない場合があります。源泉徴収される報酬である場合には源泉徴収額がいくらで処理されているのかもわかるように応じていただけるかわかりませんが、ご依頼いただけば応じていただける事業所が多いと思いますので、ぜひこちらもご検討いただければと思います。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm
(請求書等の記載事項や発行のしかた 国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7431.htm
(「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等 国税庁)
- 回答日:2021/09/15
- この回答が役にたった:15
ご回答ありがとうございます。
詳しく、かつわかりやすくご説明いただき、大変勉強になりました。
今回の相手の方はご相談差し上げた件以外にも不安に感じる点があったため結果的に取引をお断りしましたが、今後も様々なケースが発生することが考えられますので、請求書は必ず作成・保管するようにいたします。
またご提示いただいたURLも大変参考になりました。本当にありがとうございます。投稿日:2021/09/15
- この回答が役にたった
ご質問ご回答させていただきます。
まず、請求書発行の法的な義務はないようなので、請求書無しの取引は可能といえば可能だと思います。
ただ、支払側が消費税の控除を受けるために請求書の保存が必要になるため、支払側から要求されることが一般的であり、今回のように支払側から送らなくて良いといわれるのは違和感があります。
今回の取引、心配なのは相手が条件通りに支払ってくれないケースです。
この辺は税務というより法務マターになるかと思いますが、請求書の発行がないと色々証明が難しくなるのでは?という心配があります。
この点、事前に契約書や注文書を取り交わしているともしもの備えとしては安心なのですが。
条件通りに支払ってくれるのであれば、請求書の控えに経緯を記入して保管しておけば税務署から問い合わせがあった際も通帳の入金と照らして説明は可能と考えます。
最後に、支払調書ですが、支払調書の発行義務があるのは支払者⇒税務署のみなので、ご質問者様に発行義務がある書類ではないという点は注意が必要です。
もちろん、支払調書を発行してくれるのであれば証拠にはなると思いますが、支払調書は1年分の報酬をまとめて発行するものであるため年に複数回の取引がある場合、請求書を合算しないと一致しない、仮に立替経費等源泉徴収対象外の項目がある場合支払調書に反映されず実際の振込金額と整合が取れない可能性がある点は注意が必要です。
ご参考になれば幸甚です。
- 回答日:2021/09/15
- この回答が役にたった:4
ご回答ありがとうございます。大変参考になりました。
必ずしも支払調書の発行がされるわけではないことは存じておりましたが、源泉徴収対象外の項目がある場合については初めて知りましたので、大変勉強になりました。ありがとうございます!投稿日:2021/09/15
- この回答が役にたった
社長のお悩み第1位「売上が上がらない」を「売上が上がる」に改善させる!クラウド会計専門三宅綜合会計事務所
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- 静岡県
税理士(登録番号: 120363), 公認会計士(登録番号: 16849)
請求書がいらないということであれば、それはそれで問題ありません。
こちらは、入金できちんと収益を確認できますからね。
- 回答日:2021/09/18
- この回答が役にたった:3
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ご質問ありがとうございます!
税務・会計の観点からは、請求書が必要なのは、依頼者側かと思いますので、依頼者が送らなくてもよいということであれば、請求書発行無しで取引されることに問題はございません。
ただ、実際に消費税や源泉徴収税額などを加味して支払が行われるかは懸念材料になってしまうかと思いますので、トラブル防止のためにもメール等で支払金額や支払い条件について、文字に残しておかれることをお勧めいたします。
また、請求書は送付しない場合でも作成保管しておかれることで、実際の入金額と照らし合わせて、売上の証明になるものと考えております。
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- 回答日:2021/09/16
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