マイクロ法人と個人事業主の二刀流体制への移行について
現在、時給ベース、半年更新の労働契約で給与所得を得ています。フルタイムで出ているため社会保険にも加入、副業もOKでその際は欠勤扱いとしてもらっています。副業収入ほか雑収入は白色申告していましたが、今年中に個人事業主として開業し、青色申告に切り替えたいと思っています。
同時に資産管理のマイクロ法人設立を考えています。主に有価証券等の運用で、不動産運用も考えています。居住中の所有マンションが手狭になったため、これを法人名義に変更、賃貸に出し、法人の社宅として家賃12~15万の一軒家を借りたいと思います。現在の勤め先は、年齢を考えても現状の維持は5年程度、個人事業主の収入が増え、経済的な不安が無くなれば契約更新時に勤務日数を徐々に減らしていきたいと考えています。また、それ以前に契約更新が打切られる可能性もゼロとは言い切れません。
ここで質問なのですが、
1.社会保険を2箇所で加入することになってもマイクロ法人設立のメリットはあるのか。
2.社会保険料を最適化するために、労働契約から業務委託契約(準委任契約)に切替えるという考え方はアリか。その場合、現在年10日間付いている有給休暇、社会保険の半額負担の恩恵を失うことになると考えられる。
3.現在の状況や、手間、維持コストを考えるとマイクロ法人設立は現状、メリットは少ない。個人事業での家賃按分でもメリットは十分。
1.2.3.のうちどれが最適解ですか、また、私の認識に誤りがあるかもしれません。上述の3パターン以外でより良い解はあるのか、法的な問題は無いか等、こういった点も含め、ご指摘、ご助言頂けますと幸甚です。
あともう一点、将来のリタイアを見越して個人事業主は続けたいと思いますが、もし来年、個人事業の収入が無い場合、継続性が無いと見なされ個人事業主を続けられなくなるのか(廃業届を出さないといけない?)どうかについてもご助言よろしくおねがいします。
このようなご質問は多いですが、経験のある税理士であれば現状の損得だけでなく、将来の予測や、その他要因も総合的に勘案し選択肢をご提案するので、少なくともこのような場でご質問様の利益に寄与する回答をすることは難しいと思います。
例えば、現状の税金や社会保険の損得シミレーション以外で、ざっとでも以下のような検討事項が頭に浮かびます。
●「資産管理のマイクロ法人設立を考えています。主に有価証券等の運用」
→上場有価証券の運用益などは所得税の税率は分離課税で優遇されているので利益が出る場合は個人名義の方が有利になることが多いが、損失繰越は個人3年、法人10年のため損失切り捨てリスクをどう見るか
●「不動産運用も考えています。」
→借入を起こす場合、相続を考えると、個人所有の場合は不動産の評価額を超える借入残は他の相続財産から控除となるが、法人所有の場合はそうではない(株式の相続になるが株式評価額にマイナスの概念がないため)ため相続の可能性はどうか、またその発生時期の大まかな予測
●「居住中の所有マンションが手狭になったため、これを法人名義に変更」
→個人法人間の売買になるため不動産取得税や登録免許税が課されると考えられるが、その税額はいくらになるか
また、譲渡価額をいくらに設定するのか
●「労働契約から業務委託契約(準委任契約)に切替えるという考え方はアリか。」
→業務委託契約の場合は雇用とは異なり、立場が不確定になる(会社が何かしらの理由で契約更新しなければ収入はなくなる)ため、会社の業績や会社との関係も気になるし、最悪急に収入が無くなることが許容できるのかそうでないのか
現状は簡易的な節税はほぼ封じ込められていますが、将来を見越した異なる税目(所得税、法人税、相続税)での最適シミレーションや社会保険などの損得シミレーションなどにおいては税理士の能力による差が出ると思います。
本気で検討したいのであれば有償で税理士に相談されることをお勧めします。
- 回答日:2022/09/07
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丁寧な御回答ありがとうございました。ちゃんとした回答を得るためには有償でもっと具体的な情報を示しながら相談すべきなのはごもっともだと思います。また、税理士の方の能力に差があるというのも事実だと思いますし、見解も個人差があって当然だとも思います。それ故いきなり一人の方のアドバイスだけで一大決心するのは相談する側として一番の不安点です。オープンな場で複数のご意見を聞けること、同時に同じような疑問や不安を抱える人とシェアできることこそがこのような場の設置目的であり、メリットであると思っています。
投稿日:2022/09/07
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個人から法人へ支払費用の経費性や恣意的な経費額決定していないことを税務調査等で説明できるかどうかだと思います。
参考として大阪地方裁判所・平成30年4月19日判決で個人事業主が法人に業務委託費の経費性を否認された事例をご紹介します。
↓
「本件外注費を原告の事業所得に係る必要経費として認めるとすると、個人事業主(農家、個人商店など)と同族会社の代表者を兼務する者の場合、事業主自身が従事する業務を会社に外注し、その外注費を支払うことにすれば、本来は必要経費に算入することのできない事業主自身の労働の対価を、個人事業の必要経費とすることができることとなり、ひいては、税額の自由な操作を許すことになりかねないのであって、租税法の根本原則に反する不合理な結論となることは明らかである。」
- 回答日:2023/09/17
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