適格請求書発行事業者とは?登録申請の方法やメリット

公開日:2022年04月09日
最終更新日:2023年11月11日

この記事のポイント

  • 適格請求書発行事業者となるためには、申請して登録を受ける必要がある。
  • 適格請求書発行事業者となるためには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」の提出が必要。
  • 適格請求書発行事業者の申請は、e-Taxで行うこともできる。

 

適格請求書発行事業者とは、自ら申請をして適格請求書を交付することができる事業者として、登録を受けた事業者をいいます。
適格請求書発行事業者の登録は、消費税の課税事業者でなければできません。
また、登録は事業者の任意となっています。
 

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適格請求書発行事業者とは

適格請求書発行事業者とは、適格請求書を交付しようとする課税事業者が、自ら税務署長に申請し、適格請求書を交付することのできる事業者として登録を受けた事業者をいいます。

2023年(令和5年)10月1日から導入される「適格請求書等保存方式」においては、仕入税額控除の要件として、原則として適格請求書発行事業者から交付を受けた適格請求書の保存が必要となります。

そして、この適格請求書を交付しようとする課税事業者は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出して、適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があります。
登録申請書は、e-Taxを利用して提出することもできます。

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります)から適格請求書の交付を求められたときには、適格請求書の交付義務が課されています。

(1)そもそも「適格請求書」って何?

適格請求書発行事業者の説明の前に、「そもそも適格請求書とは何か」について説明します。
適格請求書とは、「売り手が、買い手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、以下の事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシートなど)をいいます。

現在の区分記載請求書と適格請求書との違いは、「事業者の登録番号」「課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率」「税率ごとの消費税額及び適用税率」が記載されているか否かという点のみになります。

適格請求書と区分記載請求書保存方式との違いは青文字部分
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

(2)適格請求書発行事業者になるということの意味は?

適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られます。また、適格請求書発行事業者に登録できるのは課税事業者のみです。

したがって、「適格請求書発行事業者になる」ということは、「適格請求書を交付することができる課税事業者である」ということになります。

適格請求書発行事業者には、適格請求書を交付することが困難である一定の場合を除いて、取引の相手方(課税事業者に限ります。)から交付を求められたら、適格請求書を交付する義務と、交付した適格請求書の写しを保存する義務が課されることになります。

(3)適格請求書発行事業者の登録は任意

適格請求書発行事業者の登録は、事業者の任意です。課税事業者が自ら税務署長に申請して行うものであり、自動的に登録されることはありません。
したがって、課税事業者であっても適格請求書発行事業者として登録しないケースも存在することになります。
ただし、適格請求書等保存方式の導入により、仕入税額控除(仕入にかかった消費税を差し引くこと)を行うためには適格請求書の保存が要件となったことから、仕入を行う事業者は、仕入税額控除を行うために適格請求書の交付を求めることになります。したがって、大半の課税事業者は登録をすることになると考えられます。

(4)適格請求書発行事業者の登録手続き

適格請求書発行事業者の登録手続きの受付は、2021年(令和3年)10月1日に開始しています。
したがって、適格請求書等保存方式が導入される2023年(令和5年)10月1日に登録を受けようとする事業者は、原則として2023年(令和5年)3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。
適格請求書発行事業者の情報は、以下の国税庁ホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されます。

国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」

登録申請は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、「適格請求書発行事業者」として登録を受ける必要があります。
登録申請は、e-Taxで行うこともできますし、個人事業者はスマートフォンでも手続きが可能です。

国税庁「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度) 申請手続」

なお、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を郵送で提出する場合の提出先は、各国税局(沖縄国税事務所を含む)のインボイス登録センターとなります。

なお、令和5年(2023年)10月1日から登録を受けようとする事業者は、原則として令和5年3月末までに申請書を提出する必要があり、令和5年4月以降に申請書を提出する場合には「3月末までの申請が困難な事情」を申請書に記載する必要がありましたが、令和5年度の改正でその記載は不要となりました。

(5)免税事業者は登録すべきか

適格請求書発行事業者は、課税事業者でなければ登録申請を行うことができません。つまり、免税事業者はそもそも登録申請できず、適格請求書の発行ができないということになります。
しかし、そうなると取引先から「適格請求書を出してくれ」と言われても、応じられないことになります。そしてこれを理由に取引をストップされるリスクもあります。

そこで適格請求書を交付する必要性に迫られ、課税事業者となり納税をする覚悟で適格請求書発行事業者に登録をするか否か、検討する必要があります。

免税事業者は登録申請をすることはできませんから、手順としてはまず「課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となってから、適格請求書発行事業者の登録申請を行うことになります。
しかしそうなると「課税事業者選択届出書」をいつ提出するかが問題になります。

たとえば、個人事業主が2023年(令和5年)10月から適格請求書発行事業者の登録したいと思った場合には、事前に課税事業者になっておかなければならず、2022年(令和4年)中に課税事業者選択届出書を提出しなければならなくなります。
そうなると、2023年(令和5年)年1月1日から課税事業者となってしまうことになり、1月1日から9月30日まではまだ適格請求書等保存方式が導入されていないにもかかわらず、その期間分まで納税をしなければならなくなってしまうからです。

そこで、2023年(令和5年)10月1日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合には、課税事業者選択届出書を提出しなくても、適格請求書発行事業者の登録申請をするだけで適格請求書発行事業者となることができるという経過措置が設けられています。

参照:国税庁「免税事業者の登録申請手続等」

2023年(令和5年)10月から適格請求書発行事業者になろうとする免税事業者は、この経過措置の対象となります。

この経過措置の適用を受けて、適格請求書発行事業者の登録を受けた場合には、登録日から課税事業者となります。
したがって基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間の末日までの期間について、消費税の申告が必要となります。

なお、免税事業者については、経過措置として2026年(令和8年)9月30日まではその80%を、その後2029年(令和11年)9月30日まではその50%を仕入税額控除の対象とする特例措置が設けられています。
この経過措置は、免税事業者が課税事業者を選択するか否かを検討する期間として準備されたものといえます。

しかし、2023年(令和5年)10月1日以降に登録番号を記載しない請求書を交付すれば、それは取引先に「自社は、消費税の申告納税を行わない免税事業者である」ということを知られることになります。
これを避けるためには、やはり適格請求書等保存方式が導入されるまでに課税事業者となる必要があります。

(6)適格請求書発行事業者の取り消し

税務署長は、以下のような事情があった場合には、適格請求書発行事業者の登録を取り消すことができます。

・1年以上所在不明であること
・事業を廃止したと認められること
・合併により消滅したと認められること
・消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと

(7)新規設立法人の特例

新規設立法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合には、その旨を記載した登録申請書を、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出します。

課税事業者である場合
事業を開始した課税期間の末日までに、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を、登録申請書に記載して提出することで、新設法人等の登録時期の特例を受けることができます。

免税事業者である場合
免税事業者である法人は、登録申請書にあわせて課税事業者選択届出書を提出する必要があります。

(8)新規開業した個人事業主の特例

新規開業した個人事業主が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合には、その旨を記載した登録申請書とあわせて課税事業者選択届出書の提出が必要です。
提出期限は、その事業を開始した日の属する課税期間の末日です。

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適格請求書を発行することに負担を感じる方には、無料で請求書・見積書を発行できるfreee請求書の利用がおすすめです。
ここからはfreee請求書を利用するメリットについて紹介します。

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またフォームに沿って入力した内容がリアルタイムで書類上に反映されるため、プレビューを見ながら簡単に書類を作成できます。入力が必要な項目はあらかじめ設定されており、消費税(内税・外税)や源泉税なども自動計算されます。
freee請求書を利用することで、入力漏れや計算ミスなどを未然に防ぎ、正確な書類をスピーディに作成できるようになります。

2023年10月から開始されるインボイス制度にも対応

2023年10月からインボイス制度が施行されます。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。
freee請求書では金額を入力するだけでインボイスの計算方法で自動計算し、適格請求書の項目も満たした請求書を作成・発行することが可能です。また、作成した請求書は電子保存されるため、インボイスの写しの保存義務化にも対応できます。

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まとめ

適格請求書発行事業者は、適格請求書を発行することができる事業者をいいます。取引先から適格請求書の交付を求められ、それに応じるためには適格請求書発行事業者に登録申請する必要があります。
適格請求書の発行は、仕入税額控除の要件となりますから、自身が登録申請すべきかどうかは、早めに税理士に相談することをおすすめします。

適格請求書発行事業者について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、適格請求書発行事業者に登録すべきか、登録する場合にはどのような手続きが必要かなどについて相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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この記事の監修者:アトラス総合事務所

監修者

アトラス総合事務所

会計・税務・労務・法務の専門家集団が、会社・個人事業をトータルでサポートいたします!

令和5年10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されると、以降は請求書に消費税を付加するためには、自社が消費税の課税事業者であることを示す登録番号を記載した適格請求書を発行しなければなりません。これまでの区分記載請求書等は誰でも発行することができますが、適格請求書等は、課税事業者しか発行することはできません。さらに、適格請求書等を発行するためには事前に税務署に申請を行って、適格請求書発行事業者として登録を受けておく必要があります。
この登録は課税事業者でないと行えないルールとなっていますので、免税事業者は課税事業者に変更しない限り、適格請求書の発行ができなくなります。
免税事業者からの仕入については、適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入後は、原則として仕入税額控除の適用ができなくなりますが、一定期間においては、仕入税額相当額の一定割合を、仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。
適格請求書の登録番号の申請受付はすでに始まっていますので、これらの事項について自社がどのような対応をすべきなのか(課税、免税の判定、申請など)については、早めに検討し準備を開始する必要があります。
アトラス総合事務所は、適格請求書発行事業者となるための手続きはもちろん、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応するための経理システムの構築までサポートを行います。
適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があるのかといった適格請求書等保存方式(インボイス制度)の不明点、疑問点について、お気軽にお問い合わせください。

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