発注書・注文書とは|発行する理由・作成ルール(テンプレート付き)

公開日:2019年11月03日
最終更新日:2024年04月29日

この記事のポイント

  • 発注書(注文書)は、商品・製品、サービスなどを発注(注文)する時に作成する書類。
  • 実際には発注書(注文書)を作成せず、口頭で取引を進めることもある。
  • ただし、下請法違反とならないためにも、発注書は作成するべきである。

 

発注書(注文書)とは、商品・製品を発注(注文)したり、サービスの提供を発注(注文)したりする時に発行する証憑(しょうひょう)の1つです。
発注書(注文書)を作成する際には、後々のトラブルを防ぐためにも、発注者番号や日付、数量、単価などの項目を正確に記載することが大切です。
 

発注書・注文書の豆知識

取引先から請求書を受領したら、まず請求内容に誤りがないかを確認します。発注書が発行されている場合には、発注書の内容と照合します。また、商品が納品された場合には現物と照合し、誤りがある場合には発行元に返品の処理や請求書の発行を依頼します。
支払業務は、会社で定められている締日(しめび)に合わせて毎月決められた時期に行われるので、取引先に請求書の発行を依頼する際には、この締日を意識して依頼するようにしましょう。
自社が請求書を発行する場合には、実現主義に基づいて自社が選択した売上の計上基準に応じて発行します。請求書には、都度請求と合計請求の2つの方法があります。
都度請求は、単発の請負契約などで用いられる方法で、取引が完了した都度に請求を行います。
合計請求は、継続契約を締結している際に用いられる方法で、通常は1カ月分の請求額をまとめて請求します。
どちらの形態で請求処理を行うかは、契約内容や経理規程などで確認しておきましょう。
なお、インボイス制度のスタートにより、消費税額がいくら含まれているかを明示しなければならなくなりましたので、この点にも注意が必要です。
発注書、注文書、請求書の処理は、後々のトラブルを防ぐためにも、適切に行う必要があります。効率よくミスなく処理を行うためにも、税理士のアドバイスを受けながら、自社の経理システム構築を進めることをおすすめします。

発注書(注文書)とは

発注書(注文書)とは、発注者が商品・製品、サービスなどを発注(注文)することの意思表示を行う目的で作成される書類です。
実際には発注書(注文書)を作成せず口頭で取引を進めることもありますし、発注書を作成せずメールで発注内容の確認を済ませるケースも増えていますが、公正取引委員会では、「親事業者は発注に際して下記の具体的記載事項をすべて記載している書面(3条書面)を直ちに下請事業者に交付する義務がある」としています。
下請法違反とならないためにも、発注書は作成するべきといえるでしょう。

参照:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法第3条に規定する書面に係る参考例」

発注書(注文書)を発行する商的な取引の流れ

「商品・製品の売買」や「サービスの提供・利用」など、一般的な商取引でのやりとりは、納品から代金受領までに一定の時間がかかります。このように納品から代金受領まで一定の時間がおかれる取引を「掛取引」といいます。

上記のとおり、発注書(注文書)は、売り手から見積書が提示されて内容を確認した後、買い手から発行する書類です。

つまり、発注書を発行する段階では、まだ買掛金の計上はしません。買掛金の計上は取引先から請求書を受け取った時です。

※買掛金:
商品の購入代金や外注加工費など、取引先との通常の営業活動で生じた費用で未払いのものを処理する時の勘定科目。

▶ 買掛金とは|掛け取引の意味・売掛金との違い・仕訳例まで

発注書(注文書)の作成

発注書は決まったフォーマットがあるわけではありませんが、後々のトラブルを防ぐためにも送付先、発注日など最低限記載すべき項目については知っておくようにしましょう。

(1)文書のタイトル

文書のタイトルとして「発注書(注文書)」と記載します。
発注書を受け取った相手が何の書類が届いたのか、書類の上部に分かるように大きめに記載します。

(2)送付先

発注する相手の名称を記載します。
取引先が個人の場合は「様」とし、会社の場合は「御中」とつけます。

(3)発注NO・発注日

発注NO・発注日は、同一契約の書類の場合はほかの書類(見積書や請求書など)と同じ番号を振ることで管理しやすくなりますし、後日取引先から問い合わせがあった際にも、番号を照合してすぐに対応することができます。

(4)作成者名

発注元の会社名、住所、担当者名、電話番号などを記載します。
記名の欄に印鑑を押す必要はありませんが、担当者の認印を押しておくと後々発注書を確認する時に、すぐ担当者を把握することができます。

(5)発注内容

発注内容は、品名、色、サイズ、個数などをできるだけ詳しく記載します。
後日、商品やサービスが納品された時に発行される納品書や納品物の検収をする際に、確認することもありますので、正確に記載します。

(6)発注金額

発注金額を記載します。
税込の金額については、特に分かりやすくするために文字を大きくしたり、太字にしたりするなど工夫して、強調するとよいでしょう。

(7)納期・支払い条件・有効期限

納期・支払い条件・発注書の有効期限を記載します。発注書の有効期限は記載しなくても問題ありませんが、納期は、納品してほしい日時なので記載しておく方がよいでしょう。

(8)小計・備考

小計:
税抜の合計金額を記載します。
消費税:
小計に対する消費税額を記載します。取引内容によって記載が不要なケースもありますので、注意します。
合計金額:
小計・消費税の合計です。発注金額と金額が合っているか確認します。
備考:
特筆すべき事項がある場合には、備考欄に記載します。

(9)発注書のテンプレート例

以下では、一般的な発注書のテンプレートをご紹介します。
テンプレートはダウンロードできるようになっているので、自社の取引内容に合わせてカスタマイズしてください。

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ここからはfreee請求書を利用するメリットについて紹介します。

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freee請求書を利用することで、入力漏れや計算ミスなどを未然に防ぎ、正確な書類をスピーディに作成できるようになります。

2023年10月から開始!インボイス制度にも対応

2023年10月からインボイス制度が施行されました。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えたと感じられる方も多いのではないでしょうか。
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請求書の作成を効率化したい方は、ぜひ無料でfreee請求書をお試しください。

まとめ

以上、発注書の意味や作成方法などについてご紹介しました。
発注書は、取引を確実に行い、取引先と発注内容について確認するために必要な証憑です。
また、公正取引委員会でも、親事業者は,発注に際して下記の具体的記載事項をすべて記載している書面(3条書面)を直ちに下請事業者に交付する義務があると指導しています。
取引を安全に遂行するためにも、また下請法違反とならないためにも、発注書に記載すべき内容を知り、正確に作成するようにしましょう。

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この記事の監修者:アトラス総合事務所

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アトラス総合事務所

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事業を始めると、業者や企業とさまざまな取引をすることになります。このとき、どのような取引をしたかという記録を残す必要があり、その記録を残す書類を「取引書類」といいます。発注書・注文書の他にも、代表的なものとして見積書、納品書、請求書、領収書などがあります。取引をする際のお金と商品の動きを記録するものですから、適切に整理・保管する必要があります。
また、2023年10月からは、インボイス(適格請求書)制度が始まります。以降は、請求書に消費税を付加するためには自社が課税事業者であることを示す登録番号を記載したインボイスを発行しなければならなくなります。
さらに、改正電子帳簿保存法が2022年1月に施行され、税務会計に関する紙の書類を電子データで受領した場合には、紙に印刷して保存することが原則として認められなくなりました。
これらの改正に適切に対応するためには、経理業務効率化は欠かせないと言えるでしょう。
アトラス総合事務所は、発注書・注文書の適切な管理等に関するご相談はもちろん、インボイス制度への対応、改正電子帳簿保存法への対応についてのサポートを行っております。自社でどのようなシステムを構築すればよいのか、適格請求書発行事業者に登録した方がよいのかなどの不明点や疑問点について、お気軽にお問い合わせください。

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