公開日:2019年11月05日
最終更新日:2024年01月26日
個人事業税とは、国内で個人事業を行う人を対象とした地方税です。個人事業税がかかる業種は限定されていますが、ほとんどの事業に対してかかります。また、個人事業主の税率は、業種によって異なります。
個人事業税の豆知識
個人事業税は、個人事業主に対して課される税金です。
課税所得が290万円を超える場合に、納付しなければなりません。なぜなら、個人事業税では独自の事業主控除として年290万円の控除が認められているからです。
個人事業税の計算方法 課税標準×税率 課税標準=事業の総収入金額-事業の必要経費-事業主控除(290万円) |
税率は事業の種類によって区分されており、3%~5%です。
したがって、法定業種に該当しない個人事業主は課税されません。
個人事業税と住民税は、所得税の確定申告をしていればその翌年に納付書が送られてきます。
個人事業税とは、国内で個人事業を行っている人を対象とした地方税のひとつです。
課税対象となるのは、特定の事業を行っている個人事業主で、業種によって税率が異なります。
住民税は、個人事業主が住んでいる住所の自治体に納める税金ですが、個人事業税は営業している都道府県に納めるものです。
「事業者も、住んでいる人と同様にさまざまな行政サービスを受けているから」というのがその理由です。
個人事業税には、事業主控除(290万円)があります。
つまり、「収入-必要経費」で290万円を超えなければ、事業税を支払う必要はありません。
税率は、業種によって3~5%ですが、大半の業種が5%となります(※後述)。
個人事業税は、以下の計算式で計算します。
個人事業税 = (収入 - 必要経費 - 専従者給与等 - 各種控除) × 税率 |
上記の「各種控除」に「事業主控除」があり、これが290万円です。
事業税では、所得税の青色申告特別控除は適用されませんが、事業主控除(290万円)がありますので、事業所得金額に、所得税の確定申告時に控除された65万円を戻し、その金額から事業主控除290万円を差し引きます。
また、専従者(家族従業員)がいる場合には、一定額を「専従者給与等」として、必要経費とすることができます。
青色申告の場合は、専従者への給与の支払額であり、白色申告の場合は、配偶者が86万円、その他は1人50万円です。
税率は、業種によって変わります。たとえば、物品販売業なら税率は5%、畜産業なら税率は4%となります。
区分 | 税率 | 事業の種類 |
第1事業 | 5% | 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業 |
第2種事業 | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
第3種事業 | 5% | 医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業 |
3% | あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復、その他の医業に類する事業 装蹄師業 |
個人事業税には、事業主控除以外にも、状況に応じて適用される3つの繰越控除があります。
損失の繰越控除(所得税の青色申告をしている場合) | 事業所得が損失(赤字)となった場合には、その損失の金額を翌年以降3年間、繰り越して事業の所得から控除することができます。 |
被災事業用資産の損失の繰越控除 | 台風、地震、火災、その他の風水害などによって事業用資産に損失があった時には、その損失の金額を翌年以降3年間、繰り越して事業の所得から控除することができます。 |
事業用資産の譲渡損失控除および譲渡損失の繰越控除 | 事業に使っていた機械、装置、車両などを譲渡したために損失が生じた場合には、その損失の金額について、その年の事業の所得から控除することができます。 なお、青色申告をしている方でその年の事業所得から控除しきれなかった金額がある場合は、その金額を翌年以降3年間、繰り越して事業の所得から控除することができます。 |
1年の途中で開業した場合には、事業主控除は月割りになります。
たとえば、5月に開業したら8カ月分が事業主控除として差し引かれます。
個人事業税は、毎年3月15日までに申告することになっています。
ただし、所得税や住民税の確定申告を行っていれば、改めて個人事業税の申告を行う必要はありません。
つまり、わざわざ自分で個人事業税について申告しなくても、確定申告をすることで自動的に都道府県税事務所から納税通知書が送られてきます。
個人事業税は、8月頃に各都道府県から納税通知書が送られてきます。
基本的には8月と11月の年2回に分けて納税します。
納税通知書にはバーコードがついていますので、コンビニエンスストアでも納付することができます。
納めた個人事業税は、全額を必要経費とすることができますので「租税公課」で経費として計上します(※後述)。
また、自然災害や盗難などで損害を被った場合や、急病で高額な医療費を支払った場合などで、個人事業税の納税が難しい場合には、減免措置を受けることができます。
都道府県の税金窓口に問い合わせ、申請をしましょう。
個人事業税は、必要経費として計上することができます。
一方、所得税、住民税、延滞税や加算税等の懲罰的な性格をもつものは、必要経費とすることはできません。
ちなみに、個人事業税以外にも、印紙税、固定資産税、登録免許税なども必要経費とすることができます。
個人事業税は、租税公課という勘定科目を使って必要経費として計上することができます。
たとえば、個人事業税を3万円納めたときは、以下のように仕訳を行います。
「個人事業税3万円を、事業用の普通口座から振り込んだ」
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「個人事業税3万円の納税通知書が届いた。納付は、期限に行う予定である。」
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なお、所得税や住民税は、必要経費として計上することができません。
納めたときには、「事業主貸」という勘定科目を使って処理します。
「所得税20万円を、事業用の普通預金口座から納付した」
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個人事業税は、すべての個人事業主が支払う税金ではありませんが、事業が成長してくれば、ほぼすべての業種の個人事業主が負担しなければならなくなります。
個人事業税を支払うようになると「こんなに税金がかかるのか」と驚くかもしれません。ですから、「少しでも税金を減らしたい」と思うのは当然です。
個人事業税や所得税、住民税などは、確定申告の計算結果によって納める税金の額が変わります。税額を減らす節税対策は、さまざまな方法がありますが、まず必ず行うべきなのが帳簿をきちんとつけて、必要経費を最大限計上することです。必要経費を増やして所得を少なくすれば、所得税や個人事業税、住民税など他の税金の納税額を少なくすることができます。
帳簿づけというと、面倒なイメージを持つ人も多いのですが「クラウド会計ソフト freee会計」を活用すれば、日々の経理作業はほとんど必要なくなります。
たとえば、「freee会計」は、ネットバンキングやクレジットカードと連携させることができ、経費をクレジットカードで支払うと、該当する勘定科目に自動で仕訳がされます。
また、確定申告に必要な決算書や申告書もほぼ自動で作成することができます。
また税理士などの専門家に相談すれば、個人事業税だけでなく所得税や住民税、消費税などの税金を少なくするための節税対策についてアドバイスをしてもらうことができます。
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個人事業主としてスタートしたばかりだと、「そもそも個人事業主が納める税金って何があるの?」と疑問に思うケースも多いのではないでしょうか。
サラリーマン時代は、会社の経理部門が計算を行い、毎月の給料から税金が天引きされていましたが、個人事業主は税金の計算を自分で行い、納税も自分で行わなければなりません。
そこで、個人事業税を詳しくご紹介する前に、まずは個人事業主が払う税金についてみていきましょう。
個人事業主が関係する主な税金は「所得税(+復興特別所得税)」「事業税」「住民税」「消費税」の4つです。この4つの税金は決算書をもとにして確定申告を行ない、税額が決まります。
税金の納め方は、税の種類によって異なります。
所得税や消費税は、自分で税額を計算して税務署に申告し納税しますが、住民税と事業税は確定申告の情報をもとに各自治体によって税額が計算され、納付書が送られてきます。
・所得税(+復興特別所得税) 1月1日~12月31日までの1年間に得た個人の所得(収入ではない)に対してかかる税金です。サラリーマンは勤務先の会社で給与から天引きされていましたが、個人事業主は所得税の計算、確定申告、納付まで自分で行う必要があります。 復興特別所得税とは平成25年(2013年)から始まった税金で、基準所得税額に2.1%上乗せして納税することになっています。 ・住民税 ・消費税 ・個人事業税 |
freee税理士検索では、数多くの事務所の中から、個人事業税など、個人事業主が納めなければならない税額を軽減するための対策について、アドバイスをしてくれる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修者
アトラス総合事務所
会計・税務・労務・法務の専門家集団が、会社・個人事業をトータルでサポートいたします!
個人事業税は、営業をしている都道府県に納める税金です。事業税がかかる業種は法律で決められていて、その税率も業種によって変わってきます。前年分の事業所得を基礎に計算されるので、税務署に確定申告書が提出されていれば、個人事業税については申告の必要はなく、また事業所得290万円までは免税となります。納めた個人事業税額は、全額が必要経費として計上することができますので、忘れずに計上するようにしましょう。
アトラス総合事務所は、個人事業税のご相談はもちろん、税務から労務、法務まで、法人・個人事業経営をトータルでサポートする総合事務所です。会計ソフト支援や確定申告をはじめ、年末調整、給与計算など、税務から労務、法務に関することは、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
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